モンタギュー文法のシュガーリングーフォーマットのシフトを中心に2


 Montague 文法の意義は、表現力のある形式論およびそのような形式論と英語の断片との関係になる。つまり、分析樹の定義とシュガーリングによる英語の断片の表記が問題になるが、内包論理への翻訳は、構成性(フレーゲ原理)を基に進んでいきます。但し、本書は、テキストとのマージを念頭に入れていることもあり、それほど強く構成性を意識することはない。
 次に、しばしばダイナミック Montague 文法と評される論理文法 (discourse representation theory (DRT) と dynamic predicate loeic (DPL)) が登場する。それらの対象表現は、例えば条件文になるが、どうして Montague 文法の手法ではこうした表現の分析に可能性がないのかが議論される。例えば、不定冠詞を含んでいる分析樹が内包論理に翻訳されると、存在限量詞は含みますが普遍限量詞は含まない形に翻訳される。これは、形式化が派生上構成性の問題を含んでいるためである。つまり、Montague 文法の手法を用いても普遍限量詞への翻訳は説明できない。そこで、Kamp は、Montague 文法とは異なる構成性を持った談話表示理論を開発し、述語計算への翻訳により意味が決まる中間レベルの談話表示を提案した。Groenendijk と Stokliof は、その流れにのって、テキストまで含めた文法構造を表記するために、ダイナミックな述語論理(DPL) と呼ばれる形式論を採用した。 統語論についていうと、DPL は DRT より論理定項の数が多く、意味論を見ると、モデルと用語の解釈は同じであるが、割り当て関数の扱いに違いがある。 つまり、DPL では、割り当て関数が全体の関数として機能し、部分的な割り当てにも対応できるようになっている。

花村嘉英著(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

シナジーのメタファー1


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