テキスト内のダイナミズムを処理するために、直感主義論理を導入する。直感主義論理は、その基礎にタイプ理論を持っているが、ここでは、多形(polymorphic) の夕イプ理論を採用する。また、直感主義論理における範疇文法は、演算子を規定する役割がある。文法構造は、Montague の PTQ とは異なり、シュガーリングと意味の説明のための形式化があるだけである。対象表現は、単文、条件文そしてテキストになる。
ここでは、直感主義論理に基づいた簡単なドイツ語の文法を導入する。 直観主義は、論理の系統の中で様相論理などと共に多値論理のグループに属し、やはり量化の表現に真理値を割り当てる上で古典的な二値論理では不十分であるという立場を取る。また、直感主義を用いた自然言語に関する証明は、コンピュータのプログラムにも通じる方法であり、 Ranta は、Montague の PTQ を土台とした英語の断片を提示している。ここで導入するドイツ語の文法は、レキシコン、範疇文法そしてシュガーリングを構成要素とする。
まず前提として、テキストのダイナミズムを直接反映するために、 Ranta は、Matin-Löf のタイプ理論を取り入れた。 Matin-Löf の動機は、統語論と意味論を数学によって明確にするという立場から、 直感主義の数学とプログラミング間をつなぐために、例えば、argument と input、value とoutput、x=e と x:=e、関数の合成と S1;S2、条件の定義と if B then S1 else S2、回帰の定義と while B do S など、直感主義のタイプ理論を考案した。
花村嘉英著(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より