モンタギュー文法のシュガーリングーフォーマットのシフトを中心に6


 レキシコンを考察しよう。普通名詞、固有名詞、動詞および形容詞が範疇化される。語彙登録は、シュガーリングのパターンを示している。レキシコンを持つことによって、名詞の集合や動詞の関数が定義され、上述した ∑、Π、pair、λ、p、q および ap といった演算子もそこに含まれる。さらに、S と N という演算子が導入される。これらは、タイプ理論の命題表現を変数として取り、文章と名詞を返す。
 シュガーリング規則のシステムを見ていこう。対象は、ドイツ語の断片である。[E/F]とは、表現Eを表現 F で置換することを意味する。{E, F,G} は、E、F、G が選択できることを示している。補助規則は、まず、単数の表現を再帰代名詞に戻し、主要な変数としてマークを付け、照応表現の範囲に設定する。次に、S と N の演算子を規定する際、規則(Q)、(C)、 (R) が重要になる。規則(Q)は、直感主義のタイプ理論の量化表現をドイツ語の文章にシュガーリングする規則である。規則(C)は、∑ と Π を限量詞というよりも連結詞と見なして、結合と条件のシュガーリングを処理する。規則(R) は、表現が、関係代名詞によって修飾された名詞にシュガーリングが掛かることを説明している。最後に形態操作の説明である。VF 動詞(3 人称単数現在)、名詞の目的格 ACC と所有格 GEN、不定冠詞 INDEF、人称代名詞 PRON、関係代名詞 REL、再帰代名詞 REFL が、シュガーリングの規則のための形態操作として導入される。

花村嘉英著(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

シナジーのメタファー1


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