森鴎外の「山椒大夫」のデータベース化とその分析5


4 鴎外の脳の活動は感情

 動物全般の感情は、人間を含めて動物が生得的に持っている本能のことをいう情動と人間特有の感情といえる尊敬の念に分けられる。前者は動物実験を通して客観的に捉えることができ、後者は個人の主観レベルで処理することができる。時間的な見方をすれば、情動は瞬間的な思いになり、尊敬の念は継続的な思いになる。周知の通り、感情には喜怒哀楽のようにどちらにも入るものがある。(二木:1999)
 この小論ではこれらをカラムに採用し「山椒大夫」のDBの作成法を検討していく。文学の研究を少しでも客観的にするためである。
 情動の起因には諸説が考えられる。そのうちの一つに内的要因(創発)と外的要因(誘発)による体の反応があげられる。鴎外の歴史小説にも内的要因と外的要因による思考があり、創発が主の作品と誘発が主の作品に分類することができる。前者には「阿部一族」、「佐橋甚五郎」、後者には「安井夫人」、「山椒大夫」が入る。こうした思考の流れは行動とも関連する。 

花村嘉英(2017)「日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より


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